原題
The Minstrel and the Dragon Pup ローズマリー・サトクリフ 著 エマ・チチェスター=クラーク 絵 猪熊葉子 訳
お勧め度★★★★☆(4・5位。とにかく心温まる絵と物語が素敵)
竜の子は母さんをちっともこいしがりませんでした。なぜなら、音楽師がいたからです。やがて音楽師の歌はすらすら生まれるようになりました。なぜなら、愛するものができたからです。
ローズマリー・サトクリフの最晩年の絵本。サトクリフの死後に出版されたものですね。
今年が辰年だからか、図書館の特集コーナーに置いてありました。サトクリフ自体は個人的にちょっと苦手意識のあった作家さんなのですが、タイトルとイラストに惹かれて借りてきました。
ちょっとした事故から卵の時に母親と離れ離れになった竜の子は旅の音楽師に拾われ、ラッキーと名付けられて共に旅に出る事に。
しかし滞在していたとある町で、悪い人間にラッキーをさらわれてしまいます。
音楽師とラッキーは無事に再会できるのでしょうか??
というようなお話です。
サトクリフの書く小説はあまり温かみが感じられないというような印象があって(あくまで印象ですよ)あまり手に取らなかったのですが、この本にはなにより、音楽師と竜の子ラッキーの絆と愛情の温かみがありました。
なによりイラストがいいですね。それにドラゴンと音楽師という組み合わせも、本当に大好きな組み合わせです。
それにこの話に出てくるドラゴンは、全然怖くないです。サイズも小さいですし、描かれるドラゴン像からしてほのぼのするのがとても和んでしまいました。サトクリフのあたたかいまなざしを感じます。
ラッキーと音楽師の関係、愛するものがいる事の素晴らしさは、本当に素直に胸に訴えかけます。
この本はそう言った大切なことを教えてくれる絵本だと思います。
本当に何より、お話の雰囲気に絵の雰囲気がぴったりあっていて、いいなあと思います。
ラッキーと音楽師が無事に再会できるかどうかは、是非ご自分で確かめてみてくださいね。
全体的な雰囲気がなかなか、好きな一冊です。
にほんブログ村[0回]
PR