原題 Dragons of Autumn Twilight
マーガレット・ワイス & トレイシー・ヒックマン 著 安田均 訳 ともひ 絵
お勧め度★★★★☆(個人的にはとても印象的な1冊)
「希望は見えないのか?」
「希望とは現実の否定です。荷馬の鼻先につるして虚しく歩き続けさせるだけの人参です」
「では、ただあきらめろと言うのか?」タニスはいらいらと樹の皮を放り投げた。
「ぼくは、人参を取り除いて自分の目でもって前進すべきだ、と言っているのです」
ドラゴンランスつばさ文庫版の3冊目です。そしてこれは原本を三分割したものの、一番最後の物語にあたります。
この話を読むのも数え切れないほどになりますが、やっぱり面白かった!この話は私が初めて読んだドラゴンランスなので、いつ読んでも感慨でいっぱいです。
読み返してみると、シリーズの中でも印象的なシーンが多いように思えます。
ティカやローラナと言った少女が、愛する人のために初めて剣をとり冒険するシーン、フィズバンやベレムの登場、物語を締めくくるリヴァーウィンドとゴールドムーンの婚礼。
こうしてみるだけでも、ドラゴンランスは愛の物語なのだなあと感じます。
この話では、裏切り者がいるかもしれないという疑心暗鬼状態のパーティが、いつ読んでもどこか痛々しい。
これほどまでにお互いを信じあえない登場人物って他のファンタジーにいるだろうか、とさえ思ってしまいます。そこがこのシリーズの魅力の一つなのですが。
それにしてもこのつばさ文庫版、ティカのふとももの挿絵を入れるとは一体どういう狙いなのだ! ただでさえこの本は(子供が読むには)ティカの描写がきわどい部分が多いのに!
昔はローラナがいいなあ、とか思っていたのですが、改めて読み返すとティカもとっても良い子ですよね。
こういう風にドラゴンランスというシリーズは、読み返すたびに新たな魅力に気づかせてくれるシリーズだと思います。
特にここまでの3冊は、一番冒険冒険していて面白いように思います。(好きとか印象的という意味を抜きにして)
ただ、だからこそ最後急ぎ足っぽくまとめてしまっているのが残念。
残念と言えば、つばさ文庫版の続刊が出ていないのも残念です。アルハナやシルヴァラや、ギルサナスのイラストが見たかった……。
また刊行再開してくれないものでしょうか。
そしてこの本には、レイストリンの煎じ薬やオティックのあげじゃがのレシピが載っています。こういうのってときめきますよね。オティックのあげじゃがは……、とにかくバターを大量に投下した印象が……。
ドラゴンランスシリーズの本の中でも、特に思い入れ深い一冊です。
おすすめ。
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