原題 Pawn of Prophecy
デイヴィッド・エディングス 著 宇佐川晶子 訳 HACCAN 表紙絵
お勧め度★★★★☆(まだまだ序章と言うことで)
「ぼくたちがしているこのことはとても重要なんでしょう、おじいさん?」ガリオンはたずねた。
「今のところ、世界一重要だ」
「ぼくはあまり役に立ちそうもないね」
(中略)
「一切が終わる前に、おまえは意外な成りゆきに驚くかもしれんぞ」
ベルガリアード物語の第一巻。わたしの大好きな作品の一つで、今回は再読。
大好きなのですが、これを知った当時は学生でお金がなくて、1冊千円近い本代を出すことができずに、2冊しか所有してないし精読していなかったのですが……。
ベルガリアードは3巻からと聞いたので、これを機会に再読して、可能ならば購入することに。一巻と二巻はなんども読み返して、それだけでも大好きなんですけどね。
さまざまな人種の人間が交わるセンダリアのファルドー農園で育った少年ガリオン。
しかしある夜、彼の運命は一変し、予言された光と闇の壮大なる戦いへと巻き込まれていく!
おおざっぱに言うとこんな話です……。
今でこそよくあるファンタジーストーリィですが、このベルガリアード物語こそは後続の物語に大きな影響を与えた、マイルストーン的な作品です。
ベルガリアード物語の魅力は、よく練られた世界観と、個性的な登場人物のキャラクターと、彼らが織りなす軽快で皮肉とウィットにとんだやり取りでしょう! もう、これが本当に楽しい。
すごく重大な旅路にあっても、彼らのやりとりが本当に面白く、思わずくすっと笑ってしまい、癖になります。
世界の中を、活き活きとキャラが動き回っているので、読んでいて明るい気持ちになるし、手が止まりません。
私が好きな登場人物は、やっぱりシルク! もうこの人なんでこんな面白いんだろう。胡散臭いけれど、ガリオンに向ける視線のあたたかさには、やっぱり経験を積んだ人だな、と思います。
もうときめいてしまって仕方ないのは、ポルガラとダーニクのカップル(一巻ではそんな様子はあまりないけど)
この二人は本当に大好きな二人です。
そして私の好きなヘターは、そういえば一巻ではあんまり活躍してなかった……。
ポルおばさんの海のように深い愛情も、でもそれをまっすぐに表せないひねくれた性格も、その愛情を嬉しく、なによりも嬉しく思いながら、時に反発してしまうガリオンの微妙な年齢の、成長の動きも、本当に楽しく読めてしまう。
旅に出て、さまざまな場所に行き、さまざまなことを学び、さまざまな不安や恐れと戦い成長していく……。
そう言った心の機微が、本当にリアルに、何よりあたたかく書かれていて、大好きな1冊です。
私も誰に見せるでもない小説をよく書きますが、どれほどこのベルガリアード物語に影響を受けたか、わかりません。
それにしても何度目かの再読なのに、いまだにカブとキャベツがどうのってやりとりには笑ってしまうんだな……。
大好きな1冊ですが、徐々に面白くなっていくシリーズだと思うので、評価はこんなものですが、2巻も、そうしてくわしく読みこんでないそれ以降の巻も、これから楽しみに読んでいこうと思います。
結構分厚い本ですが、厚さが気になりません。
本当にお勧め。
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