原題 Over Sea, Under Stone
スーザン・クーパー 著 武井孝夫 訳 マーガレット・ギル 絵
お勧め度★★★☆☆(面白いけれど、読んでも読まなくても……って感じの位置づけかもしれません)
「あの男のすることはなんだろうと、リオン教授の名においてなのだ、それがすべてなのだ。ほかになんのためにするというのだね?」
バーニイはこたえた。
「アーサー王の名において、そして闇の世界がやってくる以前の古い世界の名において」
遅ればせながらスーザン・クーパー初読。興味はあったのですがなぜ読まなかったのかというと、この本を読んでから「闇の戦い」シリーズを読みたかったからでした。
ということでこれは有名な「闇の戦い」シリーズに先駆けて書かれた作品で、夏休みにコーンウォールにやってきた3人の兄弟と、アーサー王伝説にまつわる重大な遺物をめぐる物語です。
ファンタジーってくくっていいのかなあ、とも思いましたが、まあ「あの人」も出てくるしファンタジーって事で。
3人兄弟の長男で海や船が大好きなサイモン、サイモンと11カ月しか違わない兄弟思いの長女ジェイン、アーサー王伝説に夢中な末っ子バーニイ(バーナバス)の3人兄弟のお話。そして彼らを見守るメリイおじさんの存在がなんとも魅力的です。
善と悪の終わることなき長き闘争というファンタジーにおける永遠のテーマを扱った作品ではありますが、何か魔物とかが出てくるわけではないですし、悪の勢力の恐ろしさというのが今一歩伝わってこなかったかなあと思ってしまう作品。なかなか分厚い本なのですが、いまいち盛り上がりにかける印象なのもなんとも…。
もちろん、兄弟たちはとても頑張っているし、夏休みの冒険小説としては間違いなく傑作と言っていいような名作だとは思います
でも、今一歩という感覚がぬぐえない、ちょっと残念な作品ではありました。「闇の戦い」シリーズを読めばまた違うのかな?? こちらも間をおかずに読む予定です。
アーサー王伝説物としては、本当にエッセンス程度と言った感じでした。でもコーンウォールって憧れるなあ。
ファンタジーというより、現代冒険ものとして読みたい1冊ですね。
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