原題
Die Vollmondlegende ミヒャエル・エンデ 文 ビネッテ・シュレーダー 絵 佐藤真理子 訳
お勧め度★★★★☆(4・5位。とにかく絵がいいです!)
「恥ずかしいんだよ」
「何だって」と、盗賊はあきれて聞き返した。
「お前の魂を救ってやろうなどと、思い上がっていた。だが逆に、お前がわたしの魂を救ってくれた。ずっと前に見た夢の約束は果たされたのだ。期待していたのとはまるで違っていたが。お前によってな。わかるまい」
エンデの絵本。というかもとは小説で、夫人の佐藤真理子さんの訳で1989年7月11日から7月13日まで、朝日新聞で連載されました。これはそれにシュレーダーが絵を入れたもの。
とにかく絵本にしてはビッグサイズです。持って帰るのも一苦労。しかしその分、エンデとシュレーダーという鉄板な組み合わせの作家二人によるコンボを充分に堪能できる1冊です。
シュレーダーの絵、本当に素敵ですね!
エンデの文章は、神は~、というような哲学的、神学的な内容や、悪人や善人、聖なるもの、邪悪な者などと言ったインド的な説話を思い出させるような、ちょっと難しい感じのお話です。
何というか、まさしく大人の絵本って感じですね。
隠者(聖人)と盗賊(悪人)という二人の対極的な男が、師弟になり、魂の救いを求める。
しかし、聖者にしか見えない世界があるように、悪人にしか見えないものもある。そうして、悪人が聖者を救うこともある……。と言ったようなお話の筋が、個人的には非常にお気に入りなのです。
エンデのお話は久しぶりに読んだのですが、奥が深くてお気に入り。他の作品も読み返したくなりました。
お勧めの1冊です。
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