原題 Rowan of the Bukshah
エミリー・ロッダ 著 さくまゆみこ 訳 佐竹美保 絵
お勧め度★★★★☆(本当にドキドキしました!)
「わしは、これ以上手を貸すことはできんのじゃ、バクシャー係のローワン。わしにわかっとるのは、この役目を果たせるのは、おまえしかいないということだけじゃ。わしに言えるのは、これまでおまえが学んできたことは、すべてこのための準備だったということだけじゃ。そして、わしがおまえにやれるのは……これだけじゃ」
リンの谷のローワンシリーズ五冊目。明言されたわけではありませんが、これ以後シリーズは刊行されていませんし、内容的にも最終巻と言っていい1冊です。個人的にはまだまだリンの谷の人々の活躍が見たいんですけどね。
リンの谷にこれまでにないほどの寒く長い冬がやってきた。多くの村人はあたたかい海岸沿いにまで逃げるという。そうして村に残ったのは、村の長老のラン、ノリスとシャーランの兄妹、ブロンデン、ローワンだけだった……。
いやー、この巻は今まで以上にドキドキしてしまった! 本当にロッダさんは上手いですね。
今までにないほどに厳しい状況に置かれるローワンたち、そうして待ち受ける厳しい冒険……。
ほんとうにドキドキしてむしろ心臓に悪かったです。本の分厚さもいつものほぼ1・5倍。手に汗握る冒険です。
なによりも今までは年長の人たちがローワンの冒険を助けてくれていましたが、今回の冒険はローワンとノリスとシャーランとジールの4人だけ。いつも詞で助けてくれていたシバでさえ、今回はその役目をローワンに譲ります。
そうなんですよね、なんとこの巻ではローワン自身が予言者になってしまうのです。そのことで生まれる恐怖や葛藤などは、こちらまで胃が痛くなるほどでした。
でも、年の近い4人だからこそ、その間に育まれる友情や信頼や絆は、読んでいてぐっとしました。
ローワンも頑張ったけど、個人的にシャーランがすごく頑張ったと思いました! というかみんなえらいです。
しかし一番の大活躍はバクシャーでしょう。バクシャーすごかった。
ローワンを読んでると、勇気がもらえるなあと思います。
ロッダさんの著作はいろいろ読みましたし、どれも面白いと思うのですが、個人的にローワンはその中でもお気に入りのシリーズです。小さい子供から大人まで、どなたでも楽しく読めるシリーズだと思います。
お勧めです。
にほんブログ村[0回]
PR