麻耶雄嵩 著
お勧め度★★★★☆(正直麻耶さんファン以外にはお勧めできませんが)
「まさか、配達員も部屋の中に購読者の死体が転がっているとは思ってもいないだろうな。扉一枚隔てた血の匂いが感じ取れないようでは、彼には探偵は無理だな」
題名のメルカトルというのは人名です。
麻耶さんの久しぶりのメルカトル鮎の短編集。すごくうれしいですが、すごくぶっ飛んでいます。さすが自ら短編向きと豪語する探偵です。
この本には、「死人を起こす」「九州旅行」「収束」「答えのない絵本」「密室荘」の5編を収録。
本当になんて言うか、極悪銘探偵ですねー。
犯人の証拠のねつ造、死体の隠ぺい、被害者が出るとわかっていてもそれを止めることもしない。
メルカトルならではの、彼だからこそ許される所業の数々が見ることができます。
個人的には「メルカトルと美袋のための殺人」のほうが好きでしたが、でもメルカトルでなければなしえないという意味では、こちらの短編集のほうが真骨頂ですね。
お気に入りは「九州旅行」かな。事件になんも関係のないタイトルといい、メルと美袋君が死体の横で寸劇を始めるシュールさといい、たまりませんね。
麻耶ファン以外にはお勧めできるものではありませんが、麻耶さんファンなら自信を持ってお勧めできる一冊だと思います。
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