原題 HERE LIES ARTHUR
フィリップ・リーヴ著 井辻朱美訳
お勧め度★★★★☆(アーサー王伝説を知ってる方にも知らない方にもお勧めです)
カーネギー賞受賞作。
表紙の竪琴を持った詩人(ミルディン)が気になって読んだ話です。
アーサー王を一人の少女の目から見たお話。でも此処で描かれるアーサーは普通の粗暴な軍隊長にしか過ぎず、彼が英雄になるのはミルディンの語る物語の中においてです。
最終的には読者も、現実に起きたことより物語のことのほうが真実なのだと錯覚してしまう手腕は見事です。
多くの死傷者が出ますが、最後に語られる物語ではみんな活き活きしてて、それだけで救われる気分になります。
また、主人公のグウィナは生きるために男の子(グウィン)となり、女の子として育てられた少年ペレドゥルと出会ったりもします。そういう、女の子から見た男の子像や、男の子から見た女の子像等も鮮やかです。
でも、この物語で一番心に残るのはランスロットの原型となったベドウィンとアーサーの妻グウェニファーの恋でした。
ペレドゥルは後のパーシファルだというし、ミルディンはマーリンのウェールズ語読み。アーサー王伝説を知っているとより楽しめると思いますが、知らなくても楽しめると思います。
夏のように瑞々しい情緒が全体に漂う、素敵なお話でした。
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グウィナ(グウィ) 孤児の少女
ミルディン 吟遊詩人
ペレドゥル アーサーの旧友の子。女の子として育てられる。
ベドウィル アーサーの甥
グウェニファー アーサーの妻となる女性
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