(2012年感想107冊目)
桑原水菜 著 睦月ムンク 表紙絵
おすすめ度★★★☆☆(3・5くらい。最近の桑原さんらしさの詰まった一冊。)
「“大切なものが土の中で待ってる”んじゃないのか?」(p145)思い入れのある作家の一人、桑原水菜さんの作品です。
桑原作品を読むのはシュバルツヘルツ以来となります。
読んだ感想は一言で言うと、「最近の桑原さんらしさが詰まっている1冊」と言ったところでしょうか。
遺跡発掘という題材の選び方から、話の運び方、登場人物の関係性まで、「炎の蜃気楼」のような濃厚なものではないかもしれないけれど、最近の桑原さんらしい書き方をしていて、悪くはないと思いました。なんというか、「シュバルツヘルツ」が好きだった人向けの作品かなあと思いました。きっと桑原さんは、今はこういうお話が書きたいのでしょうね。読んでいて、昔はすごく好きな作家さんだっただけに、すごく懐かしい気持ちがありました。
今はもう昔のような情熱をもって読むことができない作家さんかなあとは(悲しいけれど)思ってしまうのですが、それでも折りに触れて手にとってしまう作家さんなんだろうなあとは思います。
遺跡発掘とか、鉱石のこととかはいまいちわからないのですが、桑原さんらしい勢いのある話運びに圧倒されて、読み進めることができました。
これは無量と忍の、友情物語なのだなあと思います。でも私は、自分でも意外なことに萌絵が好きですね。桑原さんの書く元気で強い女子、嫌いじゃないのです。
お話としても、サスペンス的な要素があって、新しいかなあと思いました。人は死ぬけど、ミステリではないよね。でも一般書として出るような話かなあという気もします。やっぱり、桑原さんはラノベレーベルで活躍して欲しい作家ですね。
ちなみにタイトルにもなってる主人公の名前は、サイバラムリョウと読みます。ずっとにしはらだと思っていました。
続編のありそうな終わり方をしていましたが、とりあえず無量と萌絵の関係は、現状維持が一番好きです。
うーん、楽しめたけれど、なんというかいろいろあっさりな感じの作品でした。
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