原題 The Illyrian Adventure
ロイド・アリグザンダー 著 宮下嶺夫 訳 長野剛 表紙絵
おすすめ度★★★★☆(ドキドキさせられる冒険ミステリー)
ミス・ベスパー・ホリーは、山羊のような消化能力とチェスの名人のような頭脳をもっている。六か国語がペラペラで、そのうちの、どのことばでも悪態をつくことができる。計算尺も使えるけれど、暗算でパッ答えを出すのが得意だ。命を──わたしのであれ彼女自身のであれ──危険にさらすことなど、なんとも思っていない。(p9)
私の大好きな作者の一人、ロイド・アリグザンダーの別シリーズもの。ファンタジーではなく、冒険活劇&ミステリーって感じの1冊ですね。
主人公の16歳の少女ベスパー・ホリーは、自由闊達な女の子。そのベスパーが、彼女の父の遺産から興味を持って訪れた土地、イリリアで陰謀に巻き込まれます。
これはなかなか面白かったです! ベスパーがちょっとスーパー・ウーマンですが、どんな絶体絶命のピンチの時でも、彼女の前向きな思考が物語を明るいものにしてくれています。
ほぼベスパーが紅一点なのですが、周りを彩る男性陣も魅力的。私のお気に入りは、ニーロですね。
また、イリリアという王国についても、その歴史、風土などがよく描かれていて、楽しいです。
ロイド・アリグザンダーというと、個人的には名誉や正しいことを貴ぶ作風という印象があります。その作風がもう本当に大好きなのですが、今回の物語でも、そのエッセンスが見え隠れしているようで(オスマン王とか)、ハラハラしながらも、最後はハッピーエンドでよかったです。最後の終わり方が好き。
もっといろいろなシリーズが出ているようですが、日本での邦訳は三冊だけ。残りも読んでみようかなと思います。
プリデインやウェストマークが大好きなので、それに比べるとあっさりしてるかな? という気がしますが、これはこれで興味深いシリーズでした。
興味のある方はぜひ。
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