原題
A Spell for Chameleon
ピアズ・アンソニイ 著 山田順子 訳
お勧め度★★★★★(読みなれてくると癖になる面白さです!)
「ザンスは不自然な国だよ、ビンク。魔法は不可能を可能にする」
ビンクはその論理は感情を拒否していると悟った。「だけど、たとえそうだとしても」
現在でも刊行されている、魔法の国ザンスシリーズの第一作目。これもまた遅ればせながら読書。
住民すべてが(植物や動物に至るまで)何かしらの魔法の力を持っている魔法の国ザンス。しかしそのため、25歳になるまでに魔法の能力を認められないと、マンダニアという非魔法使いたちの国(いわゆる私たち読者の世界)に追放されてしまう。
25歳を間近に控えても魔法の才能の兆しが全く現れない若者ビンクは、その人の魔法の才能を見極めてくれるというよき魔法使いハンフリーの元に旅に出るが……。
というような所から始まる話。
いやー、これは面白かった!
最初はなじむまでに時間がかかったし面白さもいまいちわからなかったのですが、このシリーズの特徴というか面白さというかユーモアを理解できたとたんにとても面白く感じ、寝る間も惜しんで読書してしまいました。つまり面白かった。
はまると癖になるファンタジーですが、逆にハマらないと読むのがつらいかもしれません。
それにファンタジーといいますが、何というか非常に論理的なファンタジーなのも特徴かな。むしろこれはSFなのかしら。
ザンスにはさまざまな種族がいて、さまざまな生物がいて、それらがさまざまな魔法の才能を持っている。それはまるでなんだか、夢の中のような、おもちゃ箱をひっくり返したような、何とも言えない楽しさがありました。
それにしてもピングの魔法の力は、この世界では反則!?
ヒロインは、というか出てくる女性たちは、欠点と美点が上手く描かれていて個人的にはとても好感。ビンクはもちろん、魔法使いハンフリーも良い味出してますね。
しかしわたしが好きなのは魔法使いトレント! なんだかすごくツボにハマってしまいました。こういうキャラ大好きなのね自分、と改めて感じてしまった。
邪悪な心を持ち、邪悪をなしたためにザンスを追放された強大な魔法使い。しかし追放されたマンダニアで真実の愛を見つけ、美徳と道義心を育み、ザンスをよりよくしようと帰還を計画し、そうして最後は……。
登場人物が皆それぞれ、別の魔法の力を持っていることが、登場人物をより個性的で魅力的にしていると感じました。思わずくすっと笑ってしまうようなユーモアもたまらなく魅力。
そしてなにより、これから長くシリーズが続くにつれて、幾年も幾世代も時が経ていきますが、この1巻がやっぱりすべての物語の原点なのかな、と感じさせる素朴な良さがあるところが良いですね。
面白かったです。
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