ひかわ玲子 著 天野喜孝 絵
お勧め度★★★☆☆(古き良き時代の国産ファンタジー)
そして、この物語も、やがて伝説になるだろ。
──それは、銀色のシャヌーンと<昼の娘>ファりナの物語。
ひかわ玲子さんのファンタジー小説。
Wikipediaには、アーサー王物として紹介されていたけど、少なくとも一巻はそんな様子全くなかった…。影響は受けてるかなって思うところはあるけど。
<昼の国>ファリソンの王女で光の精霊に愛された光の巫女でもある<昼の娘>ファりナ。
祖国が闇に覆われたとき、彼女は霊山ダ・ムーの宮殿にすむという伝説の、銀色のシャヌーンに助力を求めて旅に出る。
はたしてファりナはシャヌーンの助力を得れるのか? そうして、祖国を救うことができるのか!?
と言ったような話です。
何と言っても、古き良き時代の日本のファンタジー小説という趣の強い一冊。どことなく「風の大陸」あたりに似ているかも。
でも、そこに描かれているのはファンタジーの永遠のテーマである光と闇の戦いだったり、胸ときめかす恋物語であったりして、なかなか楽しめました。
基本的にすごく光にあふれている作品で、読んでいて文を読むだけでもうっとりできる、清らかな感じの物語です。それに対して、あまり闇の暗さは感じなかったかな……。
さらりと読めるし、派手さはないけどそれでも良質なファンタジーだと思うので、興味のある方は是非。天野さんの挿絵も悪くないですね。
まさしく、本の裏に書いてある通り、男は勲しく、女は清らかだった時代のファンタジーです。でも、シャヌーンやその友、スールーは美形すぎて、あまり勲しさも感じられませんでしたが。
むしろ私のお気に入りはファりナを守る3人の忠実な騎士、黒龍、緋龍、青龍の3人でした。とくに青龍のポジションはなかなかにおいしくて良いです。あと、屈託のない少年マルロも良いですね。
正直言うと特にどうというわけではないのですが、登場人物の続きがなかなかに気になり、続編もあるようなので続きも読んではみたいです。ほんとうにアーサー王に絡むのかも気になるしね。
女の子を主役としたさらりとした王道ファンタジーが読みたいときには、是非手にとってみてください。
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