本田透 著 前田浩孝 絵
お勧め度★★★★☆(一巻よりずっと面白いです!)
不老不死のドルイド・ブリテンのマーリンは私の代で終わらせる。
故に私は、私が教え導いたアーサーを新たなる帝国の皇帝に即位させなければならないのだ。
“最後のマーリン”として。
本田さんのアーサー帝戦記2冊目。
今回は題名の通りマーリンのお話です。
前巻では、ふらりと急に消えたり現れたり、自分は不老不死だとか童貞だとかうそぶいていたマーリンですが、なるほどこういうわけだったのね、と、人間らしからなかったマーリンの人間らしさを存分に堪能できる1冊となっています。
これは、前の巻よりも断然に面白かったです! アーサー王伝説の醍醐味は、人間の感情のままならさだと私は思っているのですが、いろいろなことに葛藤し懊悩する、血なまぐさく泥臭い人間らしさが、いい意味で登場人物に個性を与え、魅力を与えていると思います。特に皆男女のことで悩んでいるのですよね、マーリンもそんな一人だったのだと明らかになります。
一巻読んで微妙だなー、と思った人も、是非この2巻まで読んでほしいです。
登場人物もいろいろな人が出てきてくれてうれしい。
トリスタン(ちょっと変な人だけど格好いい!)
パーシファル(何というかすごく馬鹿で俗物だけど天才←いい意味で私のパーシファル像が変わった)
ユーウェイン(屈託のない無邪気な少年)
などなど、登場人物の個性が一転して光っています。
しかしこの巻は何と言ってもマーリン! そしてニミュエ! そしてベイリン!もう何というか一気読みだった。一巻なんて三日くらい時間がかかったんだけどなあ……。
もう、最後のマーリンの下りなんかは、もうこれ最終巻でいいよって感じでした。
小説としても文章が読みやすくなってるし、物語としても格段に面白くなっているように思います。ただ、本当にどろどろとして救いがないというか。マーリンの過去とかえぐいです。
それにしてもこの巻に出てきたシャルロットはシャロットの姫エレインのことだろうか。彼女が大変なことになって次の巻に続くのですが、相変わらず救いのない終わり方ですね。
続きが気になるのですが、もう2年近く続刊が出ていないのが残念。このまま打ち切りなのでしょうか。
まだまだ続いてほしいシリーズです。
3巻が出るなら、今回出番の少なかったガウェインと最後に顔見せしたユーウェインが活躍してくれるといいな。
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