原題 The Cheerleader
キャロライン・B・クーニー 著 神戸万知 訳 サイトウユウスケ 表紙絵
お勧め度★★☆☆☆(2・5位。ヴァンパイアものと期待して読むと期待を裏切られますね。個人的には期待外れでした)
「いいかい、アルシーア」雲よりもやわらかい声だ。「セレストを連れてくるんだ」
アルシーアは身ぶるいした。
「君を人気者にしてあげよう」ヴァンパイアがささやいた。「このわたしがね」
タイトルに惹かれて図書館から借りてきました。
アメリカでは100冊以上のティーン向けミステリやホラーを書いているクーニー女史の著作らしいです。
題名に惹かれ、ヴァンパイアものを期待して読んだのですが、このヴァンパイアが暗いです。とにかく陰険で、じめじめしていて、魅力が感じられないのです。なんというか、本当にある意味正しい、死体みたいな、悪いヴァンパイアなんだなあと言う印象です。
ある意味正しいかもしれませんが、ヴァンパイアものとして人々が期待するヴァンパイア像とは違いますよね。残念でした。
そのヴァンパイアが、人気者になりたいと願う少女アルシーアに、人気者にする代わりに友だちを差し出すという提案をします。
とにかく人気者になりたかったアルシーアはその提案を受け入れ、ヴァンパイアと契約し、次々と友人たちを差し出していく……。
という話。
とにかくヴァンパイアもじめじめしてれば、主人公のアルシーアも暗いです。ある意味人間の心の闇を描いたホラーと言えるかも?
アルシーアの気持ちはわからないでもありませんが……、という感じ。
他の登場人物もヴァンパイアの力によってアルシーアと仲良くしたり仲悪くなったりしてるので、なんかあまり人間味が感じられない不自然さがあるし。
そんな偽りの人気に、それでも幸せを感じていたアルシーアが、最後はヴァンパイアとの縁を断ち切り、もとのままのさえない自分に戻って、全てをやりなおそうとする様は唯一救われるというか、本書の見どころですね。
ヴァンパイアがすみつく家に訪れた人々とヴァンパイアの交流を描くシリーズものらしいので、次回以降のシリーズに期待したいところです。
ヴァンパイアものとして読んだら期待をそがれただけで、現代のダーク・ファンタジーとして読むとなかなかの出来だと思いました。
興味のある方はどうぞという感じです。
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