のりす・はーぜ 著 竹宮恵子 イラスト
お勧め度★★★★☆(風木ファンには是非読んでほしいシリーズです)
「ジルベール……コクトーかしら」
「そう、ジルベール。どうやらこの名がいろいろな謎を解くキーワードらしいんだ」
「誰なのかしら。セルジュの息子?」
名作長編少女漫画「風と木の歌」の続編を描いた小説。ノヴェライズとかではなく、独立した続編です。
舞台は1960年代フランス。亡き作曲家セルジュ・パドゥールに興味をもった音楽院生の少女フランが、セルジュの子孫アンリ・パドゥールとともにセルジュの生涯をおい求めるという話です。
個人的な印象としては、非常に風木らしい小説だな、という印象を受けました。フランとアンリはセルジュの学友だったカール・マイセの弟の子孫である画家ヴィクトールの協力を得ることになりますが、そのヴィクトールとアンリが恋人関係になるあたりも、風木を想像させる雰囲気。
フランは非常に物分かりのいい快活な少女で、アンリとヴィクトールの関係を、「その関係のおかげでアンリがいい方向に行っているようだから否定しない」みたいなことをいうのですが、これはまるで少年愛ものの少女漫画を読む少女たちの視線だよな。だからこそフランは女の子から見たら可愛い女の子で、活き活きとしているのかもしれませんが。
セルジュやジルベールに何があったのか、まだいまいち明るみに出きっていませんが、マイセ家とピケ家は相変わらずでよかった。
なんだか読んでいて、昔仲良くしていたけど音信のなくなった級友たちのその後を、だいぶ時間がたってから聞いたような不思議な気分です。
しかしパットと言いフランと言い、同性愛関係に理解を示しすぎというのがさすが少女漫画なのか。
なんだかこういった少年愛ものの少女漫画における少女の位置というものをしみじみと考えてしまいました。
しかしアンリもヴィクトールもフランも、好きですけどね。アンリはセルジュの子孫だけど、ブロンドの髪だからか、ちょっとジルベールを想像する。
竹宮さんの挿絵や表紙などのイラストも素敵です。やっぱり竹宮恵子さんの世界は好きだなあと思える一冊でした。
意外とすぐ読めるところもポイント高いですね。続きも楽しみです。
風木ファンには是非読んでみてもらいたい一冊でした。
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