原題 The Gold of Fairnilee
アンドリュー・ラング 著 松永ふみ子 訳 月田孝吉 絵
お勧め度★★★★☆(お話はすごく素敵ですが絵本としてはもう一歩?)
少年は、すべてが魔しょうと妖術につつまれた国にそだちました。くらくなれば妖精の騎士たちが草原の上を馬で走りまわり、人間に、いくさをしかけます。どのお城にも、あのずるがしこい精霊のレッドキャップとか、毛むくじゃらの手をした女とかのいいつたえがありました。どの古い塚にも、黄金がかくされていると思われていました。○○色の童話シリーズの編集者として有名なラングの数少ない創作妖精物語。フェアニリーというのは地名のことで、ここでは「仙女が原」と訳されています。
そこには王9人の身代金が務まるといわれている黄金が隠されていて……。
その黄金にまつわる話と、妖精による神隠しについて書かれます。
とにかくこの本を読んで思うことは、昔のイギリス人にとっては、妖精というのは実際に生きていた存在なんだな、お話の中のものではないんだな、ということです。
昔のイギリスの雰囲気や暮らし、伝承などがとてもよく感じられる、風格のあるおとぎ話です。
お話全体はどことなく暗いのですが、それでもまさしく黄金のように輝いていて美しい。それは著者ラングの子供のころの思い出を反映しているのでしょう。
主人公のランドルは取り換えっ子のようにやってきたジーンと結ばれますが、ランドルにとっては黄金っていうのはジーンのことだったんじゃないかなあとも思えます。
とにかく、お話や文章はとても素敵です。
絵本としてみると少し絵が微妙な気もしないのですが(子供というより大人の絵本みたいな感じ) イギリスの雰囲気がお好きな方にはお勧めできる一冊です。
なんだか本当の、薫り高い妖精物語を読んだような読後感でした。
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