荻原規子 著 桃川春日子 イラスト
お勧め度★★★☆☆(面白くないわけではないけど、正直個人的には微妙。ファンタジーだと思って読むとがっかりでした。)
「あたしはお城様とは従姉妹かもしれないけれど、ルーンとはきょうだいよ」
少し考えて、ルーンは慎重に聞いた。
「兄と妹?」
「姉と弟よ」
「兄と妹だろう。世話を焼かすくせして」
「薄紅天女」の後に出た、荻原さんの新作だった本です。
西の善き魔女、というタイトルと、冒頭の歌、ファンタジーと読書を嬉しそうに語るあとがきの作者様から素敵なファンタジー小説なのかなぁー、と期待しながら手に取り読んだのですが、正直ファンタジーとして読むと、個人的には期待外れでした。
これは少女小説だと思います。まあ作者様はファンタジーと言っているので、敬意を表してカテゴリはファンタジーにしますが、これをファンタジーというのには抵抗が。
まず、作中に出てくる童話や文書の名前などを、シンデレラ、七匹の子ヤギ、ヘルメス・トリスメギストスと実在の物を使っていることにすごくがっかりしました。まあ多分この世界では、われわれ読者の現実にあるもの=異端という設定なのでしょうけど、それでもなぁ……。
あと、女王候補のアデイルお嬢様が腐女子だったのも、がっかりを通り越して絶望しました。
キャラクターやそれなりに魅力的ですが、一部に作者様の思い入れの強さみたいなものがにじみすぎていて、あまり冷静に描写できていないのでは? と感じてしまいます。
それでもそれなりに面白く、読ませる部分はあるし、情景が目に浮かんでくるようなところはさすがなのですが、やっぱりこれはあくまで少女漫画でしょう。
コバルトとか、ライトノベル系のレーベルの物語がお好きで、それでもいいという方は読むのもいいのではないでしょうか。
個人的に、やっぱり詰め込み過ぎで何がしたいのかいまいちよくわからないのが、なんとも残念です。
まあ、ユーシスやロットは嫌いじゃないので、きっと続きも読むんだろうけど。
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