原題 Taran Wanderer
ロイド・アリグザンダー 著 神宮輝夫 訳 エバリン・ネス 表紙絵
お勧め度★★★★★(タランの内面の旅として、奥深く興味深いです)
プリデイン4作目。
王女エイロヌイへの愛を自覚したタランは、彼女に求婚するに当たり、自身の出自が不明瞭であることを恥じ、自らの出自を求めてはるか遠くまで旅に出る。そこでタランが見出したものとは…。という話です。
今までプリデインの存亡や危機にかかわる冒険をしてきたタランが、それらの一切を離れて、ただ自分自身のために冒険するこの巻は、今までのような壮大さや冒険はないけれど、それだけに味わい深く奥の深い作品です。
自分自身の一番の敵は自分であり、タランの旅というのは今までで最も悩みが多く、内面的な物になります。
個人的な見どころは、タランがタランの父親だと名乗る男と過ごす夏から始まる事件の事。
こう言った、今までにはなかった日々の暮らしの糧を得て過ごすタランというのは、新鮮で、とても考えさせられました。
今回の旅は、エイロヌイやギディオンは想い出の中でしか出てきません。
それがとてもさみしいことでもあるのですが、タランはそう言った友人たちの助けや導きを借りずとも、冒険に出られるような立派な青年になったのだと思うと、本当に感慨深いです。
吟遊詩人の歌に語られるような英雄的行為よりも、日々の暮らしの方がずっと偉大なのかもしれないですね。
味わい深い一冊で、最後の一冊も楽しみになりました。
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