野村美月 著 竹岡美穂 イラスト
お勧め度★★★★☆(激しさと切なさのある一冊です)
「……よかったら、食べる?」
「食べられません」
ぼくは、即座に答えた。
物語を食べちゃいたいくらい愛している(そして本当に食べる)文学少女シリーズの第二弾。
今回の題材となっている物語は、『嵐が丘』です
恥ずかしながらこのお話も未読なのですが、今回の物語もよかったです!
まあ未読だった分、作中でも嵐が丘がどんな話か解説されるのが後のほうだったので、もとになった物語との類似点を楽しむという意味ではちょっと楽しめなかったのですが。
いつかもう一回読みなおそうかな。
作者様があとがきで今回は難産だったとおっしゃっていて、だからなのか最初はなかなか物語に乗れなかったけど、後半からは一気読みでした。激しくて、切なくて、少しだけ泣いてしまいました。
なによりもやっぱり遠子先輩のキャラクターが良いです。いろいろな表情を見せてくれるのですが、そのどれもがかわいらしいです。どんなに危険な状況でも物語について熱く語っちゃうあたりも、さすがだなあと思って、どんな状況でも遠子先輩は遠子先輩なのだなあと思いました。
今回は、キャラクターたちにも心の前進が見られて良い感じでした。
琴吹さんは明らかに心葉君のことが好きだし、その心葉君も、過去のトラウマをちょっとだけ乗り越えて行動するあたりが良いですね。
姫倉先輩は、底がしれないなあという感じです。
新キャラで出てきた櫻井流人君も、本当にどうしようもない女好きですが、良いやつじゃないですか。これからの活躍が楽しみです。
今回の物語も、本当に重かったなあ。また、最後は死人も出るので、うーん、ラノベだから仕方ないのかなあと思ってしまいました。本当は幸せになってほしい人ばかりなんですけどね……。
今回は私の大好きな作家のジョージ・マクドナルドも取り上げられててうれしかったです。
この本はいろいろな物語への興味をかき立ててくれるので、本好きとしてはたまりません。
登場人物の新しい一面も見れたりして、読むのはなかなか大変だったけど、次回作以降に大きく期待が持てました。
次も楽しみな一冊です。
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