雪乃紗衣 著 由羅カイリ イラスト
お勧め度★★★★☆(ちょっと重いですが、泣き所笑い所萌え所とあって○)
「でも、本当にどこにも行く場所がないなら、俺とくりゃいいさ。全部終わったら行こうぜ」
「……どこへ」
「お前が笑えるとこ。俺がぐっすり眠れるとこ。……誰も殺さなくてすむとこ」
彩雲国物語外伝4冊目。
今回は静蘭の公子時代に渦巻いた陰謀を描いた「鈴蘭の咲く頃に」
燕青と静蘭の殺刃賊時代の話を描いた「空の青、風の呼ぶ声」
邵可と薔薇姫の出会いを描いた「千一夜」
書き下ろしショートに「千一夜のそのあとに」を収録
いやー、今回のお話は重かったですね!あっさりと読むことができないお話ばかりでした。
静蘭も燕青も邵可様も、皆様歩いてる人生と、背負ってるものが半端ないんですもの。
でも、シリアスなところあり、泣き所あり、笑いどころあり、萌え所ありで、楽しむことのできた濃厚な一冊でした。
「鈴蘭~」は静蘭のお母さんのしたたかさが怖かったです。そして、やっぱり陰謀の主を見抜けなかったところが、清苑なりの愛情の結果だったんだろうなあと思うわけです。口で言うほど、愛がない親子じゃないと思うのですよ。
「空の青~」は思わず泣いてしまった。お兄さんがせつなすぎる!ああ、でもこの話は燕青らしいハッピーエンドでよかったなあと思います。
なんか、この時代の二人がいるから、いまの二人の関係があるんだよね、としみじみしてしまいました。静蘭と燕青のコンビは好きです。
この二つが重かった分、「千一夜」は純粋に楽しめました。
邵可様もよかったけど、これを読むと璃桜もそんな悪いやつじゃないじゃないと思ってしまった私……。ただやる気がないだけで(そこがだめなのかもしれませんが)
とにかく、どの話も彩雲国を語る上では外すことのできない話で、逆に言えば、ああ、そろそろ終わりに向かってるんだなあと言うのがわかる一冊でした。
重い話だけれど、外伝の中では一番好きかも。
なによりこの本を読んだ母が勧めてくれなかったら、私は彩雲国を読むことはなかったので、なかなか感慨深い一冊です。
本編もあともうちょっと! じっくり読んでいきたいと思います。
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