原題 The Tales of Beedle the Bard
J.K.ローリング 作 松岡佑子 訳
お勧め度★★★★☆(ハリー・ポッターを知らなくても童話集として読めます)
すなわちそれは、私のような賢者でも、他の者と同じく愚者にすぎぬということをはっきり示しているのである。
ハリー・ポッターの作中作みたいな童話集。
魔法使いの子供たちが小さいころから読み聞かせられている魔法使いたちのための童話と言う体裁をとっています。
さらにそれをハーマイオニーが新訳し、ダンブルドア先生が注釈を入れるという、本当に作中作らしい徹底した体裁で書かれている本です。
収録されている童話は「魔法使いとポンポン跳ぶポット」「豊かな幸運の泉」「毛だらけ心臓の魔法戦士」「バビティ兎ちゃんとペチャクチャ切り株」「三人兄弟の物語」の五編。
一見すると、ちょっとセンスのない題名が並ぶなあ……、という印象だったのですが、本編自体はなかなかおもしろかったです。創作童話って好きなんですよね。
その中でもお気に入りは、「豊かな幸運の泉」と「毛だらけ心臓の魔法戦士」でしょうか。
「毛だらけ心臓の魔法戦士」はバッドエンドなのが、童話らしくてそれもまたよしです。
全体的に、グリム童話っぽい(?)テイストになっています。
童話本編もいいですが、でもそれ以上に面白いのが童話の後についてるダンブルドア先生の解説です。
私はハリー・ポッターはほとんど未読(一巻途中でやめた)のですが、魔法使いの話というのはいつだって興味深いものです。
これはシリーズのファンならもっと楽しめるんだろうなあと思いながら読んでいました。
ただ、個人的には吟遊詩人ビードルって題名が原題でもちゃんとついてるんだから、吟遊詩人好きとしてはもうちょいビードルさんに詩人らしさを求めたかったかなあ。普通の魔法使いと変わらないですよ。
思った以上に楽しめた一冊でした。童話としても完成度が高いと思います。
ただ、ちょっと高いんですよね……。 興味があるのでしたら図書館で借りるのがお勧めです。
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