原題 Die Sieben Siegel 1 Die Rückkehr des Hexenmeisters
カイ・マイヤー 著 山崎恒裕 訳 山田章博 絵
お勧め度★★★★☆(現代の感性の中に中世の香りが色濃く漂うホラーなファンタジーです)
キラは奇妙な女の人に出会った。
空飛ぶ魚をハンドバックに入れてもち歩いていたのだ。
それは金曜日の夕暮れのこと──
最近ちょっと体調がすぐれず、分厚くて難しい内容の本が読みづらいので、子供向けのファンタジーをよく読みます。子供向けでも面白い本って多いしね。
そんな中手にとってみたシリーズ。
題名から察するに魔女とか魔術師の話かな……と思って読んだのですが、これがなかなか本格的でした。中世の西洋の薄暗く陰鬱で、悪魔とか魔女とかが人々の生活に「生きていた」時代の濃厚な雰囲気が、驚くほど濃厚に香っています。
さすが魔女狩りなどが激しかったドイツの作家さんですね、と素直にすごいと思いました。
でも現代の魔女は、ハンドバックの中に、黒猫ではなく空飛ぶ魚を仕込んでいるような魔女です。猫はその魚に食べられてしまったそうです。怖い……! でも面白い……!
そういう独特の解釈が慣れるというか、肌に合うまでちょっと時間がかかるかもしれません。
この物語は題名からイメージされるようなファンタジーというより、もっとスリリングでホラーなファンタジーです。
ハラハラドキドキの連続で、おしくらむことはこの話は本当に序章なのと、ページ数が少ないことかな……?
正直最初に出てくる主人公3人はあまり個性があるように思えず、私のお気に入りはクリスとカサンドラおばさん。
ちょっと不気味なお話ですが、ユーモアがないわけではなく、とくに最後のやり取りはほほえましい限りのユーモアでした。
これからどうなっていくのか。いやでも期待の高まる一冊です。
本物の中世の香りをファンタジーの中に求めながら手軽に読める本を探しているときにお勧めの一冊です。
また、山田章博さんのイラストも本当に素晴らしいです。まさにこの挿絵が、大人でも子供でも楽しめる一冊にしている大きな要因でもあると思います。
一風変わった、だけど純粋なファンタジーが読みたくなった時に、手にとって見るのはいかがでしょうか?
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