石川宏千花 著 藤田香 表紙絵
お勧め度★★★★☆(兄弟もの、バンパイアもの、中世の薄暗い雰囲気などが好きな方はぜひ)
表紙と題名に惹かれて図書館から借りてきた本。
中世ヨーロッパっぽい時代の農村を舞台に、旅をする兄弟ユリエルとグレンを中心に物語は展開していきます。
簡単に言うとバンパイアものに分類されます。バンパイアにもいろいろな設定がありますが、この話ではバンパイアに噛まれると絶命してしまいます。
その例外が、噛まれた直後にバンパイアから血を分けてもらう(そしてそうなったらバンパイアになる)と、<無限の血>というすごくまれな特別の血の持ち主であるかです。無限の血の持ち主はバンパイアに噛まれても死ぬことなく、人間でいられます。
そんな無限の血を持つユリエルと、バンパイアに血を分け与えられ延命したグレンの兄弟。
グレンを元の身体に戻すためバンパイアの伝承を求めていた彼らは、バンパイアが関与していると思われる少女の殺人事件の調査を依頼されるのだった。
というお話です。
バンパイアもの、兄弟もの、中世ヨーロッパのどろどろとした農村ものと、それらのキーワードが好きな私にはたまらない作品でした。
ともすればチープというか、ありきたりの素材になってしまうのですが、兄弟がお互いを案じながら自分たちの生き方を懸命に模索しているのが、これらの素材をとても良質な物語に変えていると思います。
兄弟の叔父であるトリストラム神父や、彼の仕事仲間の本物のバンパイア・ハンターテレンスとの出会いが、兄弟の関係性を二人きりだけのものにせず、物語の今後の展開を広げています。
兄弟は最後にある決断をしますが、それがすごくすがすがしい気分にさせてくれました。
また、バンパイアはどこか異界から来た存在であるということが示唆され、その異界の存在が妖しく匂ってくるのが、これからの世界の広がりを感じさせてくれるもので楽しみです。
著者のデビュー作らしく、話のまとまりは爪が甘くも感じますが、十分に楽しめて、続きも楽しみです。
どれか一つでも気になるものがある方はぜひ読んでみてください。
追記でちょっとしたネタばれの感想。
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