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紅茶好きの管理人が読んだ読書の記録のためのブログ。ネタバレありですのでご注意ください。
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マユリ
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女性
自己紹介:
Since2010.11.26
総読書感想数 430

読書と音楽とゲームとおいしいものと人形をこよなく愛する多趣味な人間です。
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妖精の女王 (創元推理文庫)
妖精の女王 (創元推理文庫)
  • 発売元: 東京創元社
  • 発売日: 2009/12/10





(2013年感想29冊目)

原題 Wicked Lovely
メリッサ・マール 著 相山夏奏 訳 羽住都 表紙絵

おすすめ度★★★★☆(妖精が好きな方にはたまらないかも??)


「あなたがアッシュリンを自分のものにすることができなければ、彼女は命を失う。アッシュリンを説得するの。でなければ、みんな終わりよ」(p325)


メリッサ・マールが紡ぎ出す21世紀の妖精譚、Wicked Lovely5部作の第一作目、「妖精の女王」の感想です。
生まれた時から、フェアリーを視ることができる能力を持つ、今時の女子高生アッシュリン(アッシュ)普通の暮らしを送るために、フェアリーなど見えないふりをしてきました。
しかしあるとき、夏の宮廷の妖精の王キーナンが、アッシュリンの高校に転校してきて……? キーナンはアッシュリンを、自分の女王にするというのです。

というあらすじかな。

これは一応、ロマンティック・ファンタジーです。そうして、こういう都市を舞台にしたファンタジーを、アーバン・ファンタジーというらしいですね。

この物語は、古典的な妖精像と、現代の今時の女子高生であるアッシュリンならではの価値観とかそう言ったものが融合して、なかなか魅力的な世界観を紡ぎ出している印象を受けました。なんというか、妖精好きにはたまらない作品だと思います。
アッシュリンのボーイフレンドであるセスの完璧彼氏っぷりがすごいとか、それに対して超美形の妖精王、キーナンは超ヘタレだとか、アッシュリンが一体どっちとくっつくのか楽しみに読めたという点も、ロマンス・ファンタジーとしてはワクワク出来ました。
しかし最後ああなるとは…。アッシュリン、今時の女子高生だなあ。
それにしても、アッシュリン、セス、キーナン、ドニアの紡ぎ出す四角関係が物語の主軸とは! でもこういう関係、嫌いじゃないです。最後はみんななんか幸せそうなので、読んでいて嬉しかったな。

ちなみに私は、完璧彼氏のセスより、欠点だらけのキーナンに魅力を感じます。少数派らしいですけどね。
妖精に対してはなかなか古典的に書かれているので、本格的な妖精ものが読みたい方とかにはとってもいいと思いました。私は妖精が好きなので、このお話すごく楽しめたな。きっと続きも読むでしょう。このお話も、翻訳止まってますが……。
続編はアッシュリンの友人、レスリーのお話らしいですね。
そういえばダークコートの王のイリアルって、この巻では空気だったなあ。続刊のタイトルは「闇の妖精王」だし、イリアルの活躍に期待したいです。

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三つの魔法 (ハヤカワ文庫 FT (74))
  • 発売元: 早川書房
  • 発売日: 1985/04/15




(2013年感想28冊目)

ジェイン・ヨーレン 著 宇佐川晶子 訳 めるへんめーかー イラスト

おすすめ度★★★★★(特に歌が素敵。全体的にとてもリリカルでファンタジックで、お気に入りです。)


与えることが海の贈りもの
許すことが海のすべてだから
海はわたしをなぐさめ
わたしのもとへきてくれる
あてどなく漂うの(p45)



現代のアンデルセンと謳われるファンタジー&創作童話作家、ジェイン・ヨーレンの長編メルヘン。
願い事を叶えてくれる三つの銀の魔法のボタンと、海と歌にまつわる物語です。

これはよかった! ハヤカワで出版されているヨーレンの初期作品三作はこれで全部読んだことになるけど、その中でも一番好きかもしれないです。「夢織り女」も好きなんですけどね。
この作品は、海や歌というファンタジックな題材を、なんと魅力的に描いていることだろうと思いました。
4部構成で、大きく分けると二部ずつ一つの大きな物語になっているのですが、最初の2部が海の話、そうして後半の2部が陸と歌の話です。
いや、最初の二部も素敵な歌があふれていて、この話はまさしく歌の物語と言えるかもしれません。
そうして、良き歌のあるところに、良きファンタジーがあるものだと私は思っています。
その意味では、この「三つの魔法」は極上のファンタジーでした。
自然によって魔法が均衡を正すという考え方も面白かったです。

「水晶の涙」でも思いましたが、ヨーレンの海の描き方が秀逸です。もう、うっとりしてしまいます。
なによりこの物語は、本当に歌がいい。そうして、めるへんめーかーさんの挿絵がたまらなく素敵です。
特に嫌な王様が、悪役なのに(悪役だから?)イケメンすぎる。
物語全体のオチは読んでる最中にわかってしまうのですが、まあ、それもファンタジーやメルヘンにとっては普遍的なものという感じで、むしろこの物語をより魅力的に見せています。
セリフの一つ一つも、ファンタジーならではの含蓄に富んでいて、さすがヨーレンだなあと思いました。
本当に、読みやすくてあっさり読めるのですが、そこに漂うのは極上のファンタジーの香りだと思います。ファンタジーに酔いたい方には、お勧めの一冊です。

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闇の虹水晶
闇の虹水晶
  • 発売元: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2012/12/07



(2013年感想27冊目)

乾石智子 著 今市子 表紙絵

おすすめ度★★★★☆(4・5くらい。もうひと押しくらい欲しいけど、乾石智子さんの作品はやっぱりいいです。)


その力、使えばおのれが滅び、使わねば国が滅びよう。
それが、創石師・ナイトゥルにかけられた呪いだった。(p3)



「夜の写本師」でファンタジー界を瞠目させた乾石智子さんの、第4作目にあたる長編です。
今回は出版社は創元ではなく、「写本師」の世界とは別の国を扱っていますが、そこが、この世界はほかの著作の世界と繋がっているのではないか、と思わせるところがあります。それだけでなんて素敵なんでしょう。

一族を皆殺しされた上に祖国を征服され、その征服後の国で飼い殺しにされている創石師(ナイア)、ナイトゥル。
彼は人の感情や病気などを視ることができ、それを石に変えることができますが、あるとき魔女に呪いをかけられます。
そんなナイトゥル、生きるも死ぬも投げやりだったのですが、国で戦乱の影が忍び寄り……。

といったあらすじかな。

やっぱり乾石さんはすごいなあ。好みはあるでしょうが、今まで読んだ本はハズレがありません。どれもびっくり、そうしてうっとりするほどの重厚感と闇や負の気配を感じます。
この「闇の虹水晶」は、出版社が違うからか、今までの作品と比べるとどことなくですが、読みやすくて爽やかというか、明るい気配を感じます。

何より、いつもと同じようなちょっとウジウジしている男主人公なのですが、彼を支えるヒロイン・ドリュティナオ(ドリュー)の存在が魅力的です。彼女の強さが、いつだって救いでした。
そうして今回は、少年たちの友情も光っていました。やっぱり暗い中にもさわやかなものがあって、読後感も良かったです。
私は「写本師」の世界観と闇の描き方が好きだけど、これはこれで十分すぎるほど楽しめます。こっちのほうが好きって人もいるかも。
文章はとても詩的で、含蓄に富んでいます。ああ、これこそがファンタジーだなと思わせてくれる作品を、いつだって乾石さんは書いてくれていて嬉しいです。

乾石さんはその重厚な世界観や筆致の割に刊行ペースが早いですが、クオリティがまったく衰えないのですごいです。
でも、もっともっとゆっくりでいいので、もっとすごいものを書いて欲しい。そう思わせてくれる作家さんであり、作品たちであります。
日本ファンタジー界で、今一番お勧めの作家さんのひとりです。


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ようこそ、古城ホテルへ(4) ここがあなたの帰る国 (角川つばさ文庫)
ようこそ、古城ホテルへ(4) ここがあなたの帰る国 (角川つばさ文庫)
  • 発売元: アスキー・メディアワークス
  • 発売日: 2012/12/15



(2013年感想26冊目)

紅玉いづき 著 村松加奈子 イラスト

おすすめ度★★★★☆(物語は一区切り。でもまだまだ続き、読みたいかな……。)


「ねぇ姫さま。そんなに国が欲しいならね、古城ホテル『マルグリット』を、姫さまのお国にしちゃっていいんだよ」(p193)


子供向けレーベル「角川つばさ文庫」から出ている人気作家の紅玉いづきさんのシリーズもの、「ようこそ古城ホテルへ」の第4巻目。
古城ホテルの4人の女主人である少女たちの、成長と友情の物語です。
今回は亡国の姫君、リ・ルゥがメインのお話。リ・ルゥが古城ホテルの女主人をやめるといいだして!?

正直、リ・ルゥが主役なのがわかった時点で、最初のページをめくる指が重かったです。すごく重いお話なのだということは分かっていたので……。
そうして、やっぱり(児童書にしては)重いお話でした。
それでも、読んでよかったと思ったお話です。4人の過去それぞれに決着がつき、作者様のあとがきにあったように、これで物語も一区切りかなというように感じます。実際、これが最終巻と言われても驚かないというか、むしろ最終巻でもいいというか……。
それくらい、今まで以上に女主人たちの個性や感情が光り、読んでいて満足できる1冊でした。

でも、できることならあと数冊でいいので、続きが読みたいかなあ。無茶は言わないので続編希望です。

それにしても、残念なこともあります。
一つは、このシリーズ、もうちょい長い文章(ラノベレーベル)で読みたかったなああっていうのと(明らかに力押しすぎるというか、もっと細かく描写してほしい場面がたくさんあります。)、児童書にしては言い回しがちょっと難しいところがあるかなあということころです。まあ、最近の子はこれくらい難しいお話でも、読めるのかもしれませんが……。

とにかく、今回は女主人みんなが悲しみに暮れ、堪え、悩んだ1冊。その葛藤があったからこそ、私もキャラクターたちに寄り添えたかなって思います。
面白かったです。
特に、ピィが成長したなあと思った。正直ピィはあまり好きなキャラではないのですが、今回はまあよく成長したなあと、思わず感心しました。セリフとか行動にも嫌なところがなかった。
そう言う意味では、この物語を通じて、登場人物たちは成長したんだなあと感じたことが、一番嬉しかったことかもしれません。
でも、この巻で輝いてたのはサフィール様だと思う。いい保護者っぷりであります。
そんな魅力的な古城ホテルのお話、まだもうちょっとだけ覗いてみたいです。続編がありますように……。

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(2013年感想25冊目)

原題 Wizard's First Rule
テリー・グッドカインド 著 佐田千織 訳 羽住都 イラスト

おすすめ度★★★★☆(まだまだ物語は序章。これからの展開に期待です。)


「よし」リチャードは快活にいった。「なんといってもぼくは、“真実の探求者”なんだからな」
(中略)
「どうしてそんなことをいったの?」彼女は迫った。(p89)



なにか長編ファンタジー小説が読みたくなり、手にとったのが本書です。
「真実の剣」と言うシリーズの、第一巻の一番はじめの部分。五分冊目の1冊目です。装画の人が好きなのも、読書の理由だったかも。そう言う意味では、最近(でもないですが)のハヤカワにしては珍しく挿絵も入っていて嬉しいです。

森の案内人の青年、リチャード・サイファー。
彼は父を殺した犯人を探し求めるうちに、カーランという謎の美女を助け出します。カーランはある人物を探しているのだと言います。カーランの手助けをするうちに、リチャードも、世界の命運を決める冒険へと巻き込まれていきます。

まだ長大なシリ-ズの本当に最初の部分なので、何とも言えませんが面白いです。展開が早くて、飽きさせない魅力がありますね。

本書の特徴は、その登場人物の少なさかな。これだけ長いファンタジー小説なのに、登場人物はリチャード、カーラン、リチャードの兄のマイケル、リチャードの友人のゼッドとチェイスと言う5人ほどしか出てきません。これには驚きましたが、その分、ひとりひとりにスポットが当たっている印象があります。
その中でも私が好きなのはカーランです。最初は謎めいたスーパーウーマンなのかと思ったけれど、意外と弱い部分もあって、こう、魅力的にみえます。
自分の素性を明らかにすればリチャードに嫌われると考えるカーランが、もう、いじらしいというか。リチャードはそんなことでは態度を変えないと思うのですが。このふたりの関係の機微にも注目していきたいです。
これからどうお話が展開していくのかも合わせて、先が読めたり読めなかったりするので、楽しみです。
ただ、翻訳が途中で止まっているのが残念。それでも面白ければ、読むのでしょうけどね。

あと、リチャードの周囲だけ、名前がマイケルとかリチャードとかジョージとかなのは若干違和感があります。
いや、リチャードは本当にいい青年なのですが。
なにはともあれ、これからが楽しみなシリーズです。
王道ファンタジーだけど、普通のファンタジーとはちょっと違うかも。
ファンタジー好きの方は、ぜひ読んでみてくださいね。

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