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(2012年感想51冊目)

妹尾ゆふ子 著 ことき イラスト
おすすめ度★★★★☆(良質なファンタジー作品です)

「そなたの」
ヤエトの言葉を遮った声は、おそろしく低い。
ゆっくりと、皇女はくり返した。
「そなたの、望みはなんだ」
「隠居です」(p184)


妹尾ゆふ子さんの「翼の還る処」第一巻。
妹尾さんはなかなか良質なファンタジー作品を書くので、お気に入りの作家のひとりです。
魔法の庭が好きだったので、こちらも読むことにしてみました。

過去を視る力のある病弱で隠居願望のある尚書官のヤエトは、歴史すら存在しない見放された地域、北嶺に左遷される。そのすぐ後に、帝国の皇女がヤエトの上官(太守)として赴任してきて……?
というお話。

このお話は面白かったです!
まずはなにより、主人公ヤエトの設定がいい。病弱で隠居願望があって、厄介ごとには首を突っ込みたくないのに突っ込まざるを得ない状況に立たされてしまう損な役回り……。(というか中間管理職)
そんな彼の背負うものの重さと苦悩に、思わず胸がきゅんとしてしまいました。
物語はヤエトの過去を絡めて、ますます大きくなっていきそうな予感をはらみつつ下巻に。楽しみです。

何より、イラストのヤエトが素敵ですね。表紙の人がヤエトですが、こんなにイケメンだとは! あとは登場人物もみんな素敵でよかったです。
物語は大きくなりそうな予感をはらみつつ、まだまだどうなるかわかりません。ただ、注目は竜の血を引くという皇族たちの存在と、ヤエトの故郷である古王国の血脈でしょう。
それらがどんな役割を担うのか、大変楽しみです。

何よりヤエトの大人な感じのキャラクターがいい。そんなヤエトが皇女と同じく、暗闇が苦手だったりするのがたまらなくツボです。この巻の最後で、ヤエトは皇女の名前を知ってしまいます。そのシーンがよかった。妹尾さんは、美しい描写を書くのが得意だなあと思いました。
鳥で空を飛ぶ描写とかも美しくて好きです。

本当に良質のファンタジー作品だと思います。気になっている方がいたら、ぜひ読んでみてください。
おすすめ。

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