原題
Day of the Minotaur
トマス・バーネット・スワン 著 風見潤 訳 竹宮恵子 表紙絵
おすすめ度★★★☆☆(3・5くらい。神話的で幻想的で牧歌的な良品)
「だが、君は森には来なかったことになるよ。おかあさんのことも、知らずに終わってしまっただろう」
「あなたのことも。森に来たことは後悔していないわ、ユーノストス。わたしが後悔しているのは、わたしが人間の世界から持ちこんでしまったもののこと。わたしが扉を開けたのよ」(p199)
アメリカの詩人、トマス・バーネット・スワンの処女長編。なんとなく図書館で目が留まり借りてきて読書しました。
古代ギリシャ、クレタのミノス王の弟アイアコスの子供、テアとイカロスの姉弟は、アカイア人に祖国を侵略されて逃げた先で、賢明なミノタウロスの若者、ユーノストスと出会い、森の中で暮らし始めるが……。
といったようなお話。
竹宮恵子さんの表紙の雰囲気が示す通りの一冊となっています。ちょっとあっさりしているんだけど、美しく、悲しく、牧歌的で神話的で愛にあふれている……。表紙のテアが描写されている通りのお嬢さんで、かわいらしいです。
この物語は、ミノタウロスと姉弟の愛と友情の物語になっています。
ちょっと物足りないところもあるけれど、ミノタウロスたちの暮らす森の描写がお気に入り。ケンタウロス、ドリュアス(木の精)、女王蜂など、様々な神話的生き物がのんびり暮らす様子は、とても美しく、心に残りました。
ユーノストスとテア、イカロスの愛と友情もいい。また、当時の民族性というのがよくわかる緻密な描写は、よんでいて楽しかったです。
読後感もよかったので、この前日譚にあたる「幻獣の森」も読んでみようかな。
ちょっと物足りないというかあっさりしている部分はあったけど、なかなか楽しめた1冊でした。
興味のある方はぜひ読んでみてください。
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