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紅茶好きの管理人が読んだ読書の記録のためのブログ。ネタバレありですのでご注意ください。
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闇の城 (ハヤカワ文庫 FT 53)
  • 発売元: 早川書房
  • 発売日: 1983/06

原題 The Castle of Dark
タニス・リー 著 こだまともこ 訳
お勧め度★★★★☆(素敵な世界観なので、興味のある方はぜひ。)

「どうぞわたしを殺して、リア。今すぐに。わたし自分で死ぬのはこわいから」
リアは、ひるんだ。そして、阿呆のように大声でわらいだした。
「あんたが、なにかをたのむとき『どうぞ』というなんて、はじめて聞いたよ」リルーンは目を見ひらいたまま、口をぽかんとあけている。「だめだよ」リアは、ことわった。「そういうことをたのめるくらい勇敢になっているなら、なんとしても救ってやらなきゃなるまい」

タニス・リーのジュブナイルなファンタジー小説。家に早川の彼女の著作はほぼそろってるのですが、長らく積読だったので、読んでみることに。

主人公は闇の城で二人の老婆に世話され、そこから出ることなく育ってきたわがままな少女リルーンと、月の光のような美しい髪をもつ竪琴弾きの青年リア。
リルーンは城から出ることを望み、呼びかけの魔法でリアを呼び、リアはその呼び声に導かれるように旅をする……。

話は、リルーンとリアの視点が交互に変わって進んでいきます。

何とも童話的な一冊。私が思い出したのはマクドナルドの「フォトジュン」
普通こういう童話じみた話だと、王子様はお姫様を助けるのに一生懸命ですが、この話のリアは一歩ひいてる感じ。
リルーンはすごくわがままだし(そこがかわいいのですが)お互いのことを好きと思ったことは(とくにリアのほうは)ない。

この、童話的でありながらちょっとずらしたキャラ設定は、リーらしくていいですね。
文章も翻訳も相変わらず詩的で光り、お気に入りです。
お話自体はいささか淡々と進むのですが、後半は一気読みできる面白さ。

最初は夜の側に属していたリルーンが最終的には光へと成長していき、昼の側の人間だったリアが夜の闇を受け入れて、そうしてお互いがお互い自身だと気づいていく……。
好きとか嫌いとかなんていうよりも、お互いがもっと深い存在だと気づく。そんな奥深さのあるところもお気に入りです。

ジュブナイルとしてはなかなかしっかりしたファンタジーなので、見かけたときに読んでみたらいいのではないでしょうか。
私のお気に入りのシーンは、リアが竪琴を作るところ。こういうダークな描写は、さすがだなあと思ってしまいます。


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