原題 The Fairy Caravan
ビアトリクス・ポター 作 久野暁子 訳
お勧め度★★★★★(ポターの書く文章も挿絵も、本当に素敵です)
一行は、馬具をつけて出発しました。そして、丘を越えて、はるか遠くへと旅立ちました。よく晴れた、風の強いある朝のことです。羊の囲いへと続く広い道には、子馬の足跡がまだ残っていて、でかけましょうと呼びかけるいななき声が聞こえます。荷車の車輪が回り、妖精のキャラバンが奏でる音楽が、今でも聞こえてくるのです。
ピーター・ラビットで有名なビアトリクス・ポターの作品。彼女がナショナル・トラストの活動をしていたときに書かれたものだそうです。
裕福な中流階級の家に生まれ育ち、自然を観察して愛した彼女ならではの、生き生きした美しい文章とかわいらしく愛らしい挿絵が存分に楽しめる一冊です。ピーター・ラビットしか読んだことのない方にも、是非読んでほしい一冊です。
毛髪が長くなるという薬を飲んだテンジクネズミのタッペニーは、毛むくじゃらになってしまい、とても故郷の町にはいられないと故郷を出ます。その先で動物たちのサーカス一座に出会い、仲間に加えてもらい……。
旅する中での様々なお話を描いた連作短編です。
この本の素晴らしいところは、どのページにもポターの素敵な感性で感じ取られた、自然と、色彩と、光と影と、音楽にあふれているところだと思います。
こういったポターの自然にはぐくまれた、そこに根差したまなざしというのは、現代の日本(とくに都会)で生きる私たちが失いつつあるもので、この本を読むことで、いろいろと気づかされることもあるかと思います。
ポターの感性というのは私のあこがれでもあるのですが、その憧れを強くした一方で、身近にも感じさせてくれた作品です。
ページを開くと、個性豊かなサーカスの一座の面々と、ともに旅をしてる気分が味わえると思います。
ただ、題名は妖精となっていますが、出てくる主な登場人物は人型の妖精ではなく動物です。
でも、あちこちに妖精のエッセンスが感じられる、珠玉の動物ファンタジーだと思います。
お勧めの一冊です。
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