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最後の戦い―アーサー王宮廷物語〈3〉
最後の戦い―アーサー王宮廷物語〈3〉
  • 発売元: 筑摩書房
  • 発売日: 2006/04

ひかわ玲子 著 橋賢亀 表紙絵
お勧め度★★★★☆(アーサー王入門編に最適のシリーズ)

「本当に……どうしてこんなことになってしまったのだろう? あれほどに結束を誓いあった我ら円卓の騎士団であったのに」

ひかわ玲子さんによるアーサー王伝説の最終巻。なかなか面白く、続きが気になって一気に読んでしまいました。
前巻が華やかな宮廷模様や聖杯探索、恋物語などで彩られていたけれど、今回はどのページにも死と血のにおいが漂う凄惨な内容となっています。

ついに明るみにされた王妃ギネヴィアと騎士ランスロットの不義の愛、そこから二分にわかれる円卓の騎士、それを清算するための遠征中に、アーサーの不義の子モードレットが、キャメロットを乗っ取ったという知らせ……。親子はたがいに殺しあう最後の戦いへ……。
すべての悲しみを取り除くという聖杯はアーサー王の手の中にはないのか? 人々の願いもむなしく、キャメロットは没落していく……。

上記の抜粋はユウェイン卿のお言葉ですが、この物語のすべての人々の気持ちを代弁している言葉だと思います。
アーサー王伝説って、本当はとっても痛ましいお話しで、その伝説の本質のようなものを、ひかわさんは見事に書いているという印象でした。
その中に、オリジナルのキャラクターであるメイウェルとフリンが希望を信じ、残している……という感じですね。

アーサー王伝説を下敷きにした日本人が書いた物語としては漱石の、『薤露行』が有名ですが、実は本格的なものはそれ位しかなく、ひかわさんの試みは意欲的で、そうして成功しているのではないかと思います。

円卓の騎士が分裂し、親子や兄弟が戦わなければならない状況下の今回の話は、本当につらいです。
改めて本当に、人の心とはままならないものなんだなぁと思わせてくれます。

アーサー王初心者にはお勧めの一冊なので、ぜひどうぞ。本の装丁も美しいです。

ただちょっと言えばひかわさんの文体、やたら句読点が多いので少し疲れました。
でも、とてもいい本だったと思います。

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