本田透 著 前田浩孝 イラスト
お勧め度★★★☆☆(悪くないんだけど書き込み不足かな……)
(姉上を、力によって奪われた。アヴァロンは祈りによっては訪れない。この世界に本当にアヴァロンを実現させることができるもの、それは──力だ)
ならば、戦うしか、ない。
「円卓生徒会」などでやはりアーサー王物語を題材にしている本田さんが書いた、シリアスなほうのアーサー王物語です。通常アーサー王と称されるところ、タイトルが「アーサー帝」なのは、アーサーがブリテインからローマに進出してローマ帝国を征服し、自ら帝位に就いたという古いマロリー版などのエピソードから着想を得たとのことです。
感想は……、アーサーがオッドアイって所に思わず失笑してしまったり、ランスロットが少女のように可愛い金髪碧眼って書いてあったのに表紙がどうみても銀髪だったり、ガウェイン強いぜ! と思ってみたり……。
いろいろ突っ込みどころはあるのですが、それなりに楽しく読めました。
なかなか本格的で、シリアスな暗い雰囲気の話になっています。
物語は展開が速く進むのですが、そのおかげでキャラクターの書き込みと言うか、会話と言うか、掛け合いが不足している印象です。あんまりキャラクターにぐっとくるところがなくて、いれこめないのが残念なところでした。
あと、性的虐待とかそういう眉をひそめたくなるネタも多かったなあ。まあ、アーサー王伝説自体が結構インモラルなところがあるとも言えなくもないから、仕方ないのかもしれないけど。
この本では、ニミュエは男装の女戦士に、ベイリンが盗賊の首領として、登場するところが結構面白いかな。モルゴスはガウェインとは血がつながってなくてガウェインはク・フリンだし、ケルト神話っぽい隠し味がちゃんとあるのも○
あと、クルフッフも名前だけでてきましたね。本編に出てくるかなあ。
でも、なんだろう、性的な部分以外にも、いろいろと個性づけと言うか動機づけがほしかったような気が……。
たしかに面白い設定もあるけれど、あくまで従来のアーサー王小説を踏んでいるって感じでした。
あと、女性陣ではモルゴスがとてもクローズアップされているのがちょっと面白いと感じました。ここまでモルゴスを重点に置いているののもめずらしいかな……。モルガンとは双子と言う設定で、モルガン姉さまには安定感があります。あとケイ兄さんとマーリンの皮肉も安定感があっていい。グィネヴィアは正直幼女すぎた……。
書き込み不足というか、もっとキャラクター同士のやりとりとか友情とか愛情とかどろどろしたところが見たかった気もします。アーサーとランスロットの親友具合とか。
でも最後のほうはなかなかおもしろく読めたので、今後に期待かな。
それにしても、結構救いのないどろどろとしたところで終わってるので、これからどうなる? って感じでした。まあ、ブリタニアの運命を知っている未来の人間としては、どうなるってういうのはわかってるので、どうする!? って感じですが。
続きも読んでいきたいと思います。
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