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紅茶好きの管理人が読んだ読書の記録のためのブログ。ネタバレありですのでご注意ください。
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マユリ
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女性
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Since2010.11.26
総読書感想数 430

読書と音楽とゲームとおいしいものと人形をこよなく愛する多趣味な人間です。
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ラベンダー・ドラゴン (ハヤカワ文庫 FT 8)
  • 発売元: 早川書房
  • 発売日: 1979/08



(2012年感想100冊目)


原題 The Lavender Dragon
イーデン・フィルポッツ著 安田均 訳  加藤洋之 後藤啓介 表紙絵
おすすめ度★★★★☆(ファンタジーという名の哲学書。妙に悲しみの余韻があるのがいいです。)

「慈悲深く優しい彼の魂がわれわれのうちにあって、この失望多き世界に幸福を授けることができるようにわれわれを助けてもらおう」
「そうなりましたわ」彼の妻が言った。「わたしの愛するドラゴンの知恵に触れたもので、以後変わらずにおれた人はいませんもの」(p184)



ミステリー作家として有名なフィルポッツが描くファンタジー小説、「ラベンダー・ドラゴン」の感想です。
1923年の作品とのことなので、今から約90年前の作品ですね。そんな古さを感じさせない、素晴らしい作品でした。
ジャスパー卿は騎士道の具現の旅の終わりに、ひとつの村を訪れます。その村は邪悪なドラゴンに悩まされていました。しかしジャスパー卿がドラゴンと退治してみると、そのドラゴンは年老いた、良い叡智を持つ、懸命なドラゴンだったのです。しかも彼は、ユートピアを治めていて……。
というようなお話です。

ファンタジーと言いながら、これは一種の哲学書とか、神学書といった雰囲気です。
舞台となるのは中世暗黒時代ですが、現代人に向けたメッセージもあるのでしょうね。難しいお話はドラゴンの口から語られるので、あんまり嫌味な感じはなく読むことができます。

本当の幸福とは? 生とは? 死とは? 人間とは? など多彩な問が投げかけられています。ここまで人間のことを想い、考えてくれるドラゴンがいるということが、なんだか嬉しくて、この本を読んでいる時間はあっという間に過ぎてしまいました。ドラゴンといえば西洋では邪悪の象徴。しかし、ラベンダー・ドラゴンみたいなドラゴンがいたら、人間たちとともに暮らせたら、どんなにそれこそ、本当の幸福であることでしょう。

死期も間近に迫った年老いたドラゴン。彼には痛風もリューマチもあるというのが、また憎めないところであり、作者のユーモアであり、悲哀であります。
最後は少し悲しいですが、ドラゴンとの経験を胸に、みんなそれぞれらしく生きていくのでしょうね。
なんとも、ちょっと悲しい読後感の小説でしたが、この悲しみさえ、我々がドラゴンの考えに触れることができた証のようにも思います。

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幻魔の虜囚 (1983年) (ハヤカワ文庫―FT)
  • 発売元: 早川書房
  • 発売日: 1983/04


(2012年感想99冊目)

原題 Volkhavaar
タニス・リー著 浅羽莢子 訳  
おすすめ度★★★★☆(4・5くらい。タニス・リーらしい物語です。)

「行きます」シャイナは言った。
「夜はじきに終わって?」ウォーナが尋ねた。闇に置かれた子供に一瞬戻って。
「どんな夜も」シャイナは言った。「いずれは明けます」(p268)



大好きな作家、タニス・リーの初期の長編です。原題はそのものずばりのVolkhavaar(ヴォルクハヴァール)
登場人物の名前がそのままタイトルになっているタニス・リーの小説も珍しいかも??
この物語はカーニック(実はヴォルクハヴァール)の旅の一座の看板役者、ダジエルに恋をした奴隷娘シャイナの物語ですが、タイトルになるだけあって、このヴォルクハヴァールが、すごい存在感を放っています。
なんといっても、その生い立ちが丸々一章分を使って描写されるさまは圧巻。そのおかげで、最後の方なんて、ヴォルクハヴァールは悪い奴のはずなのに、なんだか哀れが先立ってしまって、ヴォルクハヴァールに感情移入してしまいます。
そうして、シャイナが想い人を救うというストーリーは、この本の中ではあまり主格をなしていないのです。
この本で語られているのは、愛であり、愛の変容と愛を受け入れることにあるかと思います。しかし、愛と憎しみが一体であるように、作者が語るように、愛とは円であり輪なのです。
物語自体も、ダジエルとシャイナが最後結ばれることなく別々の道を行ったのも印象的。でも、私はこの終わり方も好きだな。シャイナがダジエルを愛さなくなったわけではないのだし。
あと、忘れちゃいけないのが不器量な王女ウォーナの存在。彼女が愛猫と戯れる描写とか、徐々に成長していく様子とか、正しくおとぎ話の典型という形です。
タニス・リーの独特の美文体と、浅羽さんの翻訳も相変わらず素敵です。久しぶりに読むと、タニス・リーと浅羽さんのコンビは、自分の海外FT好きのきっかけの一翼を担っているので、読んでいて読書する楽しみが湧き上がってきました。充実した読書時間でした。
冒頭に、「愛とは輪である。輪には終わりがない」とロシアの諺が引用されていますが、正しくそんな感じの、濃厚で、タニス・リーらしい一冊でした。おすすめ。「平たい地球」シリーズもまた読みたくなってしまいました。

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時間のない国で 下 (創元ブックランド)
時間のない国で 下 (創元ブックランド)
  • 発売元: 東京創元社
  • 発売日: 2006/11/18



(2012年感想93冊目)

原題 The New Policeman
ケイト・トンプソン 著 渡辺庸子 訳
おすすめ度★★★★☆(4・5くらい。不思議とのんびりした気分になれる作品。)


「いくらでもなかったよ」と、JJは言った。「だって、お金じゃないんだから。びっくりするかもしれないけれど、最近は『ダウドの九番』で買い物ができるのさ」(p205)


アイルランド音楽ファンタジーの下巻。
JJ・リディは母親の誕生日に時間を買うためにティル・ナ・ノグに赴いた。しかし時間の流れが違うために、現実世界ではJJは行方不明になっていることになって……? 一向に忙しくなるばかりの現代とティル・ナ・ノグは、一体どうなってしまうのか!? 
というようなお話です。

いやー、この本は面白かったです。何より全編を彩るアイリッシュメロディーと、ティル・ナ・ノグの描写がいいです。ティル・ナ・ノグがすごくほのぼのしてて、現代社会に対するメッセージのようにも思えました。下巻は、読み始めたら一気読みでした。

JJとアンガスの交流が良かったです。音楽を一緒に演奏したり、いろいろお話したり……。アンガスは実は……!? っていうのもファンタジーらしくていいですね。
ほのぼのしてるだけあってほのぼのとしたラストですが、最後はちょっとドキドキできる部分があるのも良かったです。
続編(?)もあるのかな? ティル・ナ・ノグから帰ってこなかったアン・コーフのことなど、いくつかの謎があるので、続編もあわせて読んでみたいと思います。

とにかく、いろいろと考えさせてくれる、素晴らしいファンタジーだと思います。現代だからこそ生まれた、まさしく現代ファンタジーの珠玉の一冊だと思います。
最近妖精物のファンタジーを多く読んでいますが、妖精を信じる心というものは失いたくないなあと、そんなことを考えさせられました。お勧めです。

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時間のない国で 上 (創元ブックランド)
時間のない国で 上 (創元ブックランド)
  • 発売元: 東京創元社
  • 発売日: 2006/11/18



(2012年感想92冊目)

原題 The New Policeman
ケイト・トンプソン 著 渡辺庸子 訳
おすすめ度★★★★☆(4・5くらい。アイルランドの伝統音楽と一緒に読みたい。)


「本当に」JJはうなずいた。「時間って、どこに行けば買えるんでしょうね?」
アンが笑った。「それはこっちが知りたいわ。でも、みんなその表現をずいぶん簡単に使っていると思わない? 時間を買う。そんなこと、無理なのに」(p134)


アイルランド音楽ファンタジー。
JJ・リディは伝統的な音楽一家に生まれたフィドル&フルート奏者の15歳の男の子。いつも時間に追われて生きているが、最近特に時間が足りない……。そんなJJが、母親の誕生日に時間をプレゼントすると約束したために、とんでもないことに足を踏み入れて……!?
というようなお話。

いやー、このお話は面白かったです。章末にアイリッシュのトラッド音楽の楽譜がついていて、わたしはYou tubeでそれぞれの楽曲を検索し、BGMにしながら読んでいました。そうすると、雰囲気もおもしろさも倍増するように思います。そういう読み方はでも時間がかかるので無理という方は、アルタンとか聞きながら読むといいかなあと思います(わたしは後半はそうやって読みました。)

現代社会では、多くの人が時間が足りないという悩みにおかされています。そういう私も、24時間じゃたりない、とつくづく思いながら生きています。でも、本当に時間が足りなくなっていたら、忙しすぎてそのことにも気づかないんだろうなあと思います。そうして、大事なもの(想像力とか)が失われていくんだろうなあ。
アイルランドの音楽の歴史に触れられたのも良かったです。

それにしても、ティル・ナ・ノーグの書き方が、本当にのんびりしていて素敵です。現代社会の時間が、そちらに「漏れ」ているなんていう発想も素敵。
話の本筋に入るまでがいささか長いのですが、後半はちょっと話に進展があるので、このまま下巻に期待したいと思います。

しかし、音楽を聞きながら読書するのは、ある意味とっても贅沢な至福の時間でした。そんな満足感を与えてくれた1冊です。

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(2012年感想91冊目)

原題 The Iron King
ジュリー・カガワ 著 宮崎真紀 訳 彩 表紙絵
おすすめ度★★★★☆(面白かったです。次の巻も気になる。)


「持ち物はそれで全部?」
アッシュが尋ね、わたしはうなずいた。
「うん。必要なものは全部あるから。さあ、行こう」(p291)



ジュリー・カガワさんのデビュー作、「Iron Fey」シリーズの第一作目の邦訳の下巻。
ミーガンは弟のイーサンを助けるために、親友のロビー・グッドフェロー(パック)猫妖精のグリマルキン、冬の国の美王子アッシュとともに旅立つが、とんでもない敵がネバーネバーを襲おうとしているのを知ってしまい!?

というようなお話。
下巻からは展開が一気に進み、ぐいぐいと読ませられました。
科学技術から生まれた鉄の妖精たちという発想が面白いなと思います。現代社会へのメッセージ的なニュアンスもあるのでしょう。「必要なものは全てもってるから」とミーガンはいいます。現代社会でも、本当に必要なものは多くないのかもしれないですね。

それにしてもミーガンは、何でもかんでもすぐ取引しすぎで、読んでいるこっちがヒヤヒヤしてしまいました。これらの取引のほとんどは次巻以降への伏線となっているようなので、きっと次巻も読んでしまうんだろうなあ。それにしてもアッシュはアンシーリー(悪い、祝福されていない妖精)の国の王子なのに、いいやつすぎます。わたしは、作者の贔屓を感じても断然アッシュ派です。アッシュとパックの過去をもっと読みたいです。

しかし、アッシュとパック、二人のイイ男から「姫」と呼ばれるミーガン。上巻は薄味だったロマンス要素も、下巻はそれなりで嬉しかったです。向こうでは、ロマンス・ファンタジーなんていう日本にはあまり馴染みのないジャンルもYAに多いんですよねえ。
しかし下巻はパックがほとんどいいところなしだったので、巻き返しを測れるのかだろうか。そもそも公式HPによると、次の巻は、敵が味方に、味方が敵になるとか。パックとアッシュはどっちにつくのか!? 今後の展開が気になりますね。

全体的に、色々な作品のいいところどりって感じの作品です。でも、面白いと思います。ロマンスレーベルだからと思って読まないのはもったいない作品だと思います。というか出す出版社間違えてないかしら……、とちょっと不安に。
なにはともあれ、次の巻も楽しみな1冊です。

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